ハンディホーム保安灯が壊れたということで分解してみました。そのレポート。
目次
ターゲット
刻印から、松下電器のハンディホーム保安灯WH1101という製品のようです。
ランプは豆球で、充電池はNiCdと、ちょっと現在では今ひとつの仕様です。故障の原因もNiCd電池の寿命のようですが、交換用電池のWH9902はググっても見つからず・・・入手は面倒そうです。
追加情報
掲示板より通りすがりの者さんから情報をいただきました。遅ればせながらここにも掲載します。
ニッケル水素電池「WH9905P」が代替品として使えるそうです。
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パナソニック電工(Panasonic) コスモワイド21 交換用ニッケル水素電池WH9905P |
分解図
右側のパーツはツメで固定されているだけなので、マイナスドライバーで外すことができます。豆球や充電池交換はこの時点で可能。この先、分解するのに邪魔なので外します。左側と中央のパーツはタッピングビス1個と左側パーツの円形凸との勘合摩擦で固定されています。ちょっと力が要るので丁寧に作業しないと傷つけてしまいそう。
基板
回路はICなどは使用しておらず、ディスクリート部品のみで構成されていました。勉強がてら解析することにします。
裏面から取った写真を反転し、傾きや色調補正をかけ合成してみました。
これをもとに回路図を起こしてみます。
回路図
これがその回路図です。
水魚堂の回路図エディタ、BSsh3Vで書きました。データファイルはコレです。Ver3ですので部品ライブラリが無くても見られます。
電源部
電源部は商用電源の基本通りZNR(バリスタ)が入っています。サージ電圧を吸収するためです。
またAC100Vから電圧を降下させるためにトランスを使っていません。この電源の取り方の原理の説明としてマイクロチップ社の資料AN954などが参考になるかと思います。
R1は突入電流保護抵抗、R2はコンデンサの電荷放電用抵抗と思われます。
AC100V-50Hzならば、0.47μFのコンデンサと100Ωの抵抗の持つインピーダンスは約4.7k[Ω]です。このインピーダンス成分により電圧を落としているわけです。コンデンサを使わず同じだけの抵抗を使うと抵抗にかかる電気が熱となり効率が悪くなってしまいます。コンデンサは充電した電気を電源に返します。多少、力率は悪くなりますが、電力を食う用途でもないので柱上トランスにも大きな負担にはならないかと。
ここで取り出した電圧はブリッジダイオードを通し全波整流。その次にダイオードD1を通して一方通行に流れるようになっています。充電池からの電圧が逆流しないためです。
ランプ点灯部
コイルの記号でごまかしていますが、LPとあるのが電球の部分です。そしてランプのON/OFFを行っているのがTR1です。
TR1のベースに電流が流れるとTR1はONになりランプが点灯します。TR1のベースに電流が流れる時=SCRに電流が流れる時、です。
SCRはゲートに電流が流れ込むと、アノードからカソードへ電流を流します。そして一度アノード−カソード間に電流が流れ始めるとゲートの電流を遮断しても流れ続けます。アノード−カソード間の電流の流れが止まると、再びゲートに電流が流れ込むまでアノード−カソード間には電流は流れません。
SW2はランプOFF機能を持つスイッチです。SW2をONにするとアノードとカソードの電位が強制的に同電位になります。こうなるとアノード−カソード間に流れる電流が止まりTR1はOFF、ランプが消灯します。
SW1はランプON機能を持つスイッチです。SW1をONにするとR6から回り込む電流によりSCRをONにし、TR1をON、ランプ点灯となります。
自動点灯
ZD1には刻印が無いのでどの位の値のツェナーダイオードか不明ですが、回路図から想像するに充電池2.4Vよりもやや高めでは無いかと思われます。充電に丁度いいくらいの電圧と考えられます。
AC100Vが接続されているときはZD1より高い電圧がかかりR3に電流が流れます。LEDが点灯、TR2はONになります。TR2がONになると、TR2コレクタの電圧はGNDに近くなり、SCRのゲートには電流が流れません。
AC100Vが切断されると、充電池が有効となります。ZD1 > 充電池電圧、なのでR3には電流は流れません。LEDは消灯、TR2はOFFになります。TR2がOFFになるとR6からC3を経由してSCRへ電流が流れます。これはC3が充電されるまでの時間ですから、0.1秒くらい?でしょうか。SCRがONになるのには十分な時間なのでTR1がONになり、ランプが点灯します。
充電回路
ZD1を基準としてTR1をON/OFFされ、充電池にかかる電圧が調整されていると思われます。元々回路には20mA程度しか流れてきませんので充電回路というほどの回路は不要、ということでしょうか。
実測
オシロスコープで各所の波形を時間軸でそろえて並べてみようとしたのですが、失敗。ブレーカを落とす事態になってしまいました。恥ずかしい。
この回路はご覧の通りAC100Vと絶縁されていないのですが、オシロスコープ側はトランスで絶縁されているので通常は問題ないです。しかし今回、私はPCとオシロスコープを接続して波形を取り込もうとしてたので、このケーブル経由でショートしたようです。PCの電源以外にもAC100Vに繋がる周辺機器がありますので、そっちを回ったのかも知れませんが。
いずれにせよそんな感じで波形取り込みを一時断念することにしました。スライダックの購入を真面目に考えようかとも思っています。
続く・・かも。